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時の尾/新藤晴一

ポルノグラフィティ新藤晴一、初の小説。

はっきり言って、彼の言葉や、詞曲の世界観が大好きです。
だからと言ってイコールで彼の書く小説も好きには繋がりません。

けれど、彼は昔から読書家という事も知っていましたから、文を書く事自体は期待していました。でも、それは話の面白さで言えば、別。

好きだからこその不安、そして期待。

そんな気持ちで読みました。

連載時よりも大幅に加筆修正が加えられ、かなり読みやすく、そしてわかりやすくなりました。

昨日尽きた命と、今日も生きながらえている自分の命。どれほどの違いがあるのだろう。


いつまで経ってもこれというタイミングがやって来ない。もう少し待とうとしたら、今度は、やって来ないのではなく、もう過ぎてしまったのかもしれない、という気がしてきた。


「ある」ものではなく「ない」ものだった。(略)オヂの目の中には何もない。それは空洞と言ってよかった。


どうすることもできない現実は、そこに居座り続ける。何も考えない、それ以外にユリが正気を保てる方法はなかった。


「時の尾にしがみつけ」


このばらばらに見える星々が、結ばれ、さらに美しい形を作り出すのなら、一つくらいは星座の名前を覚えてもいいかな、とヤナギは思った。


「潮時」


自分が未だ持たない力を、あの鉄の塊は持っている。


ただ耐えていれば、いつか良いことが起こるって思っていたら、時間がどんどん過ぎて、自分がしたいこととか、いなくちゃいけない場所だとかが、どんどん曖昧になってきた。


進め、進め 時は満ち
 形振り構わずそら進め
進め、進め この時を
 逃して勝機は望めまい




誰かが言っていた。
彼の書く曲は、いつもどこか光があり、光を求めている、と。

文としては悪くない、むしろ好きです。
私が思う良い小説というものは、情景が浮かぶこと。読んでいる頭の中では映画のようにシーンが浮かぶもの。
これは、どの話でも浮かぶ訳ではなく、良い話じゃないと浮かばないのです。

だから、思ったこと。
この小説は、良い小説だ。

まだちょっと粗い、というか初々しいというか、そういう、「若い」と言われるような部分がまだあるけれど、一読書として、書き方も好きだった。
ポルノファンとしてじゃなく、ただの本好きとして言わせてもらえば、これからも買おうと思った。
歴史の話を書いてみたいと言っていたけど、逆に私は、いしいしんじさんや伊坂さんのぶっ飛んでる(設定やら色々)のを書いてみて欲しい。
あるいは、村上春樹さんの『東京奇憚集』や星新一さんのショートショートのように短い話も読んでみたい。

そう感じさせる本でした。
今後も楽しみです。

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